和歌山観光・お出かけ
昔ながらの黒江の路地を歩いて参拝。名水「黒牛の水」が湧く神社です。
海南市黒江は伝統ある紀州漆器の町です。今も昔ながらの狭い小路が、迷路のようにあちらこちらに伸びています。
そんな小道をつらつらと進み、たどり着くのが中言神社です。
「中言神社」の名称には、神と人との「中」を取り持ち「こと(言)」を行う、そんな由来があるとのこと。
あえて「言葉」の「言」が使われていることから、神様の言葉を伝える役割があったのでは、と想像がふくらみますね。

小路の突き当りに石段が。中言神社は小高い場所にあります。

狛犬の向こう側に黒江の瓦屋根の町並みが。

早春には椿に彩られる句碑。

中言神社のシンボル「黒牛」。
境内から湧き出す名水「黒牛の水」
中言神社の境内には「黒牛の水」と呼ばれる名水が湧き出しています。
紀の国の名水50選にも選ばれており、茶道や書道などの上達に効果があるとされています。
古い時代、中言神社一帯は「黒牛潟」と呼ばれる干潟となっていて、境内には黒牛を思わせる大岩があったとか。
その黒牛の大岩を穿ったところ水が湧き出したため「黒牛の水」と名付けられたようです。
黒江の名手酒造ではこの水と同じ水脈を使い、純米酒「黒牛」を醸造しています。
(参拝時、「黒牛の水」を持ち帰ることはできません。) 
古(いにしえ)に
妹(いも)と我が見し ぬばたまの
黒牛潟を 見ればさぶしも。
(かつて愛する人と一緒に眺めたこの黒牛潟を、今は一人で眺めている。なんとさびしいことだろう。)
万葉歌人・柿本人麻呂が「黒牛潟」を詠んだ歌碑も立っています。
この時代、和歌はSNSの役割を果たしていました。
歌に詠んで映える場所が有名歌人によって発信され、都で話題となったのです。
柿本人麻呂が詠んだのですから、「黒牛潟」がどれほど美しい場所だったかがよくわかりますね。
漆器の町ならではの「筆まつり」
中言神社には「筆塚」がお祀りされています。
紀州漆器がさかんな黒江では、漆を塗るために使う筆や刷毛をとても大切にしています。
古くなったものは感謝をこめて筆塚に。
毎年4月1日には「春祭り・筆まつり」が行われ、お参りすると書道など芸事の上達にもつながると言われています。
中言神社のご祭神・ご利益
中言神社のご祭神は「名草彦命(なぐさひこのみこと)」、「名草姫命(なぐさひめのみこと)」、「八王子命(はちおうじのみこと)」です。
古くからの地名「名草」の名を持つご祭神は、もともと名草地方におられた地主神だと言われています。その土地に根付き、しっかり守ってくださる神様です。
中言神社の御由緒によると、「名草彦命」と「名草姫命」は夫婦の神様。
そのことからご利益は、子供の健やかな成長・縁結び・家内安全・陰陽和合、となります。
また別の説として、「姫」は神の声を聞く者、「彦」はその下で政治を司る者、との見解も。
名草地方を治めていた女性首長「名草戸畔(なぐさとべ)」との関係性を考えると興味深いですね。
中言神社の御朱印
中言神社には授与所がありませんが、、拝殿に向かって左側手前にある宮司さんのお宅で御朱印をいただくことができます。
御朱印は参拝をしたことの大切な証です。
ノートやメモ帳ではなく、きちんと御朱印帳を作ることをお勧めします。
中言神社への交通機関
【住所】 和歌山県海南市黒江933
【電話】 073-482-1199
【アクセス】
・JRきのくに線 黒江駅より徒歩20分
・阪和自動車道海南東ICより車で約9分
【駐車場】 なし
・海南黒江郵便局南側の「黒江観光用駐車場」(10台)の利用をお勧めします。
(中言神社までは徒歩5分程度です。)
【黒江めった祭】
2019年6月2日(10:00~16:00)海南市黒江の紀州漆器伝統産業会館「うるわし館」周辺で「黒江めった祭」が開催されます。
レトロな小路歩きを楽しみつつ、ワークショップに参加したり、あちらこちらの出店で食べ歩きをしたり、謎解きゲームに参戦したり…。
めずらしいメダカの展示販売もあります。
黒江の町を丸ごと一日楽しめるイベントです。
その一環として中言神社では「黒江めった祭限定・特別御朱印」をいただくことができます。
紀美野町にある「和紙工房あせりな」さんの桜染めの手すき和紙を使った御朱印です。(先着30枚)
*黒江めった祭・特別御朱印をいただくには…
1. まずは中言神社の神様に参拝。
2. 賽銭箱の横にあるスタンプを押印。(用紙は問いません。)
3. それを「めった祭本部」(紀州漆器伝統産業会館「うるわし館」)まで持って行って、初穂料300円をお渡しし、特別御朱印をいただきます。
・特別御朱印は、中言神社での販売はしていません。ご注意くださいね。
【黒江めった祭】詳しくはコチラ