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ママタイムズ

岡崎小学校「服の力」プロジェクト

岡崎小学校4年生の生徒さんたちが取り組んだ「難民に服を届ける活動」を取材してきました!

2021/11/04

和歌山市立岡崎小学校

自然豊かな場所にある岡崎小学校(和歌山市寺内)

「思いやりの心を育む授業」→「服のチカラプロジェクト」

「服のチカラプロジェクト」の取り組みが始まったきっかけ

岡崎小学校4年1組担任の矢田良博先生にお話を伺いました。

初めは、生徒たちに『思いやりの心を育む授業』をしたいと考えたのがきっかけでした。
近くの人には思いやりの気持ちは持てても、自分の目の前に居ない人にも思いやりの心が持て、またその人の事を深く考えられたら、それは子供たちのいい成長につながるだろうと考え、たまたま知ったユニクロの「難民に服を届ける活動」」(「“届けよう、 服のチカラ”プロジェクト」)を、すごくいい取り組みだなと感じ、この授業に取り入れようと考えユニクロにご協力をお願いしました。


岡崎小学校4年1組の教室に掲げられた目標数のポスター。
岡崎小学校4年1組担任の矢田良博先生
~服のチカラプロジェクトとは~
校内や地域で着なくなった子ども服を、難民などの服を必要とする人々に届ける活動。全国の教育機関とユニクロが取り組んでいる。

世界の子供たちって自分たちと同じなのかな?

ユニクロの「服のチカラプロジェクト」活動に取り組む前に、まずは世界の子供たちに目を向ける授業から始めました。生徒たちに「世界の子供たちは、みんな自分たちと同じなのかな?」と。自分たちと同じように学校に行ったり、勉強したり、遊んだり、国や文化は違っても、世界には自分たちと同じ子供たちもいるということを知って世界を広げていきました。
そして次の段階へ…戦争が関わっている国にスポットを当てることにしました。
戦争に関わりのある子供たちの状況を知り「自分たちと同じような子供たちが苦しい思いをしているんだな」と暗い部分を見ることで、「ちょっと何か自分たちにも出来ることないかな?」「助けたいな」という子供たちなりの思いが芽生えていきました。「どうしたら助けられるかな?」と考え始め…そこでユニクロの出前授業「難民に服を届ける」授業に進んでいきました。

服には“力”がある

ユニクロの出前授業では、SDGs(※1)のお話と、着なくなった服の活用方法のお話を聞かせて頂きました。
服はリサイクルが出来たり、難民など世界で服を必要としている人たちに届けられてリユース(※2)されたり、服には“力”があるというお話を聞かせて頂きました。


(※1)SDGs…持続可能な開発目標。「貧困問題」「環境問題」「人権問題」…など全17の世界が掲げた目標。
(※2)リユース…一度使用された製品などを再使用すること。

服という身近な物を通して、その『力』を世界に届けることが出来る

出前授業で「難民に服を届ける活動」を知り、子供たちは『着なくなった服が役に立って、世界の子供たちを助けたりできる!』世界の7000万人以上いる難民の方のために『僕たち、私たちにも出来ることがある!』と大いに意欲を持ち始めました。

服を難民の方たちに届けよう!

服をどうやって集めていく?

学校内のポスター
服を集める活動は学校内からスタートしました。
「服のチカラプロジェクト」のポスターを4年生の生徒みんなで作って、校内に貼り、4年生以外の学年にも、この活動を知ってもらえるように、各学年それぞれのクラスで手分けをし、説明と協力のお願いを呼びかけていきました。

もっと沢山服を集めたい!その一心でこの活動の場は学校外へと広がっていきました

1学期から始めたこの活動は、2学期に入ってからも続けられ、『もっと服を集めて難民の方々に沢山届けたい!』という子供たちの思いがさらに強くなっていきました。

岡崎小学校では、4年生は通常校内放送を使わないのですが、「この取り組みを校内放送でも呼びかけたい!」と子供たちの熱い思いで、今回初めて4年生が校内放送を使って、この活動の内容や説明を自分たちなりに言葉を考え全校生徒に呼びかけました。

そして、『もっともっと沢山の服を集めるには?』と子供たちなりに考えを巡らせ…

「自分たちの行っていた幼稚園に協力してもらったら、もっと沢山服が集まるかな?」
「地域の方に協力をお願いしたらもっと沢山服が集まるかな?」
「人が沢山来るところに、服を集める場所を作ってみたらもっと沢山集まるかも?」

子供たちが、子供たちなりに考え提案。この取り組みは学校外へと広がっていきました。

学校と地域が一丸となって

東部コミュニティーセンターの様子
東部コミュニティーセンターの様子
幼稚園、コミュニティセンターなどに服を集める箱を置かせていただいたり、また地域の民生委員さんにもご協力をお願いし、皆様快くご協力下さり、沢山の服を集められることが出来ました。
民生委員さんには、子供たちがPowerPoint (パワーポイント)を使ってプレゼンをしました。この活動の説明を自分たちで考えご協力をお願いしました。

矢田先生のクラスの4年1組では、「沢山服を集めて難民の方々を助けたい!」という思いから目標500着を掲げていました。目標を掲げて、子供たちが頑張った結果、目標数を上回る1000着以上が集まりました。


活動を通して得られたこと、伝えたいこと

集められた沢山の服

子供たちの心の変化

まず、こんな経験がないと思います。
会ったこともない国外の全くの見ず知らずの子供たちのために、自分たちが出来ることを考えて、「何かしよう!」や「何をしていく?」を、自分たちで考え、話し合い提案していき、そしてそれを実行に移していく。それだけでとても良い経験だと思います。
このような活動に取り組んでいる事自体、子供たちにとっての大きな変化であり、また、子供たちの心の変化にも大きく繋がっていったと感じます。


先生の思い

今回の取り組みは“SDGs”(持続可能な開発目標)活動の一環も担っているのですが、SDGsは子供たちの課題になりきれていない部分があるように思います。
今回この活動を通して

自分たちにも何か出来ることがあるということ
自分だけじゃなく相手がいるということ
自分だけの地球じゃないということ

SDGs活動に限らず、大切なことだと感じて欲しいです。
そして、いつも思いやりの心を持って欲しいと伝えたいです。

岡崎小学校・塩谷通功校長先生にお話しを伺いました

近年、進学や就職で和歌山県外へと出てしまわれる方が多く、和歌山県の人口が減少傾向にあります。そして、この先さらに県内の人口は減少していくとの予測が出ています。
県外へと出て行かれた方が、また和歌山に帰ってくるような人材、和歌山に戻ってきて和歌山のために尽くす人材、地元に貢献できるような人材を育てていきたいという大きな思いがあります。そのような中で、地域の方には様々な形でお世話になっておりますので、恩返しできるよう、また地域を意識でき、地域に関わるような学習など色々な学習を通して、「人のために何が出来る?」や「地域のために何が出来る?」そんなことを常日頃考えられるような子供に育てていけたらと考えております。



       ・・・編集後記・・・

先日、東部コミュニティセンターへ出かけた時、ふと貼られていたポスターが目に留まりました。
プロジェクト」とカラフルに描かれ、しっかりとした字で活動内容が書かれたポスターでした。

私は率直に『服を難民の方に届ける活動!?すごい!!なんて素敵な活動なの!!』と同時に、『この活動を皆さんにもお伝えしたい!』と強く思い、岡崎小学校に取材をお願いしました。

『思いやりの心を育む授業がしたい』と考えたのがきっかけで、この活動が始まったと知り、子供たちに寄り添った、とても素敵な授業をされているんだなと感じました。また、子供たちの活動の内容や過程を詳しく聞かせて頂き、子供の発想力ってすごいんだなと改めて感じました。
この活動を通して子供たちの成長していく姿を垣間見ることができ、温かな気持ちになり、私も『思いやりの心』を大切にしていきたいと思いました。  
             
             まいぷれ編集部 山﨑