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キラリ☆和歌山人

保護猫カフェで、一匹でも多くの猫を幸せにしたい。

保護猫カフェ「猫の道草」 吉田藍さん

2022/01/26

和歌山でキラリと輝く活動をされている方を紹介する「キラリ☆和歌山人」。今回は、保護猫カフェ「猫の道草」を経営し、保護猫活動に取り組まれている吉田藍さんを取材してきました。保護猫を引き受けてお世話をする、そして新しい飼い主につなげるという「譲渡ボランティア」を主に行う吉田さん。今回の取材では、ご自身の取り組みやボランティアの現状、病気を持つ猫の保護についてなど、保護猫への熱い想いを語っていただきました。
保護猫カフェ「猫の道草」 吉田藍さん
保護猫カフェ「猫の道草」 吉田藍さん

保護猫と触れ合える保護猫カフェ「猫の道草」

――保護猫カフェ「猫の道草」について教えてください。
利用方法としては、一般の猫カフェと同じです。1時間1,000円でワンドリンクが付いておりまして、時間内は自由に猫ちゃんと戯れたり、ただただ猫ちゃんを眺めたり…お好きなように過ごして頂けます。

――ここにいる猫ちゃんはみんな保護猫なんですよね?

はい。基本は、殺処分の対象になる、動物愛護センターに収容された猫ちゃんを引き受けています。日々、一般の方からも電話がかかってくるのですが、ほとんどはお断りせざるを得ない状況で、タイミングが合えばお受けすることもあります。ここにいる子は、一部の子を除き、みんな譲渡対象であるので、ここで出会った子を家族にしたいと思って頂いた場合、譲渡させて頂く形ですね。

――なるほど。お客様はどのような方が多いですか?

男性、女性ともに1人で癒しを求めて来られる方が多く、土日は家族連れの方もいらっしゃいます。初めて猫を触るという方や、猫を飼ってみたいけどどんな感じかなというので来られることも結構ありますね。譲渡目的ではなく、ただ単に遊びに来られる方の方が多いです。

様々なボランティアの方々で成り立つ保護猫活動

――和歌山市の保護猫活動には一体どのような活動があるのでしょうか?

保護猫活動には色々な活動があります。私がしているのは、保護猫を引き受けてお世話をする、そして新しい飼い主につなげるという「譲渡ボランティア」です。他には、赤ちゃんにミルクをあげて離乳後はセンターに返すという「ミルクボランティア」や、センターに収容される猫ちゃん自体を減らすための活動を行う「地域猫の活動」などがあります。

――地域猫の活動とは?

野良猫を捕獲して、これ以上不幸な猫が増えないように避妊去勢手術をして元の場所に戻すという「TNR活動」のことです。そして、決まった時間に餌をあげて、食器の片付けや糞尿の掃除などもきちんと行います。和歌山では、野良猫に餌をあげてはいけないという条例があるのですが、ちゃんと手術をした猫ちゃんに関しては「地域猫」として餌をあげてもいいという決まりがあります。

――そのような活動があることを初めて知りました!

そうですよね。私もまだ猫歴が6年なのでそれまでは知らなかったことなんです。猫に困っているという方にも、猫ちゃんが嫌われないように努力している人たちがたくさんいることを知って頂きたいですね。
餌やりだけをする餌やりさんや、愛護センターの掃除だけをする方など、みんながそれぞれできることを行って保護猫活動は成り立っています。今は、譲渡ボランティアやミルクボランティアさんの数も少しずつ増えているので、殺処分の数は減ってきていると思いますが、やっぱり根本的には不幸な猫ちゃんの命が新たに生まれないようにすることが大事です。地域猫の活動(TNR活動)を頑張ってくれている方がいるからこそ、私たちもやっていくことができます。

“保護猫カフェ”だからこそ、できること

――吉田さんが保護猫活動を始められたきっかけは何だったのでしょう?

今、そこで寝てる猫ちゃんに出会えたことがきっかけなんです。私は小さい時からムツゴロウさんに憧れて動物が大好きだったのですが、動物アレルギーがあったり家庭の環境で飼うことができませんでした。もう飼えないと思っていたのですが、6年前、母親がこの子を拾って、家に連れて帰ってきてしまって…。帰すこともできないし、まだ赤ちゃんだったので、覚悟を決めて育てることにしました。それから、猫について色々調べていくうちに、和歌山の殺処分の現状、困っている猫ちゃんがたくさんいること、またミルクボランティア・譲渡ボランティアがあることを知ったのです。すっごくしたい!と思ったのですが、譲渡ボランティアを個人でするとなると、新しい里親を見つけるのが難しく、見つからなければ私がずっと面倒を見続けないといけなくなり、猫の数は増えていく…それでは意味がない、と悩んでいるときに保護猫カフェの存在を知りました。“これをしよう!”とすぐに決めましたね。当時、大手の保険会社に丸10年務めていたのですが、いいきっかけだと思い、会社を辞めて保護猫カフェをすることにしたのです。

――10年も務めた会社を辞めて新たなスタート、、相当な決意を感じます!「保護猫カフェ」がいいと思った理由とは?

やっぱり個人での譲渡ボランティアには限界がありますが、カフェ形式にすることで多くの方に猫ちゃんをつなぐことができます。そういう場を作りたいと思ったので「保護猫カフェ」じゃないとダメだと思いました。

――カフェ形式だからこそ、できることですね。現在、こちらには何匹の猫ちゃんがいらっしゃいますか?

猫カフェ内とセカンドハウス、あとカフェと繋がっている自宅内と合わせて今は37匹ですね。カフェ内でなかなか馴染めない子や、奥に引きこもってしまう子が自宅で過ごしたりしています。

――なるほど。今まで、正式譲渡になった猫ちゃんの数はどれぐらいですか?

カフェをオープンしてから3年で114匹です。
もちろん誰にでも譲渡をしているわけではありません。その方とお話をしてご自宅まで猫ちゃんをお届けさせて頂き、生活環境を見させて頂いた上でトライアルをして、問題が無ければ正式譲渡という形になります。先住の猫ちゃんと合わなかったり、初めて猫を飼う方は一緒に生活を始めるとアレルギーが出ることもあるので必ずトライアルはしてもらっています。大体1週間~10日程ですが、ご希望に合わせて期間を延ばすこともあります。

――トライアルは、猫と飼おうとしている方お互いにとって大切で、必ず必要な期間ですね。

そうなんです。ペットショップで購入するとそれができなくて、一緒に住み始めてからどうしても自身の生活環境に合わないとなっても無理をして、お互いストレスを抱えたまま生活を続けるということもあります。そのような状況にならないように、「どうしてもダメだという時は猫を返すことを悪いと思わず、すぐにでも返して下さい」と皆さんにお伝えしています。
※既に開催された譲渡会です。
※既に開催された譲渡会です。
――定期的に、譲渡会も行われているんですよね?

はい。毎月、第三日曜日に開催しています。譲渡会は、「普段色々な人に出会える機会の少ない猫ちゃんにもチャンスを」という目的で開催しています。ここにいる子というよりは、新しい譲渡につながるのが難しい、個人でボランティアをしている方や団体さんのところの猫ちゃんのために行っています。


病気を持つ猫ちゃんにもチャンスを。

セカンドハウスで暮らす、猫白血病・猫エイズのキャリアを持つ「大ちゃん」
セカンドハウスで暮らす、猫白血病・猫エイズのキャリアを持つ「大ちゃん」
――カフェの向かいにある「セカンドハウスNico」は、病気を持つ猫ちゃんのための専用ハウスだとお聞きしました。詳しくお聞かせください。

まず、猫を保護したら一番初めにウイルスチェック(エイズと白血病の検査)をするのですが、陽性反応が出ると他の猫に移ってしまうので一緒に飼うことができないのです。私は保護活動をしている中で、猫エイズと猫白血病を持った一匹の猫に出会いました。他の子と一緒にできないので大き目のゲージでお世話をしていたのですが、この子はこれで幸せなのかな…と思い始めて、暖かい所、涼しい所で美味しいご飯は食べられるけど、一生ゲージの中で生活…それは違うなと思いました。そして、今後も同じような病気の子に出会うことを考えて、思い切って専用ハウスを作ることにしたんです。セカンドハウス内には3部屋を設けて、現在、猫白血病、猫エイズ、保護したての子など隔離が必要な子が暮らしています。


――なるほど。猫エイズや猫白血病はかかってしまうと治ることはないのですか?また、移りやすいのでしょうか?

そうですね、猫白血病は怖い病気で、かかると3年ぐらいで亡くなってしまう可能性が高いといわれています。また簡単に移りやすく同じ食器で餌を食べるのも避けなければいけません。一方で猫エイズは、人間と同じように発症しなかったらそのまま長生きできます。ただ簡単に移ることはありませんが、血の出るような喧嘩で移ってしまうことがあるので隔離は必要なんです。時々、心配される方もいらっしゃいますが、猫エイズは人間に移ることはありません。
――そうなんですね。りんごの木が描かれた、セカンドハウスの壁画には何か意味が込められているのでしょうか?

はい。白血病やエイズの子ってなかなか里親を見つけるのが難しいんですよね。たしかに、白血病の子は長く一緒にいられないかもしれないので仕方ないとも思うのですが、エイズの子は本当に発症しなかったら長生きできる可能性が高いので、やっぱりここにずっといるより1匹で大切にしてもらえるお家につないであげたいんです。エイズの子を「リンゴ猫」と呼ぶのですが、少しでも多くの人にあの絵を通じてリンゴ猫のことを知ってもらい、お家を見つけるチャンスを与えてあげたいなという思いであの絵を描いて頂きました。
――「リンゴ猫」について知らない方も多いと思います。何も知らずに病気の子、とだけ聞くと少し戸惑ってしまう方もいらっしゃいますよね。

そうですね。わざわざ病気の子を…という気持ちも分かるのですが、譲渡会などの時に、本来の姿を見て触れ合ってもらえれば、なんていい子なんだろうって分かって頂けると思うんです。今までに2匹のリンゴ猫ちゃんの譲渡が決まりました。もっと多くの方に「リンゴ猫」のことを知って頂きたいですね。

“保護猫”を選択肢にいれてほしい。

――今、吉田さんはどのような想いで保護猫活動に取り組まれていますか?

色々な方が「猫ちゃんたくさんいてるからあんまり無理せんようにね」と言ってくださいます。無理していないかというとやっぱり大変で無理はしていますが、全然しんどくないのです!それ以上のものを猫ちゃんが返してくれます。これだけたくさんの猫に出会えて、囲まれて、私は本当に幸せなんですよ。中には見取り覚悟で保護している子もいたり、悲しい別れもいっぱいありますが、これからも猫ちゃんのために保護活動を続けていきたいと思っています。

――猫ちゃんに対する吉田さんの愛、とっても伝わります。活動する中で、周りの方々の協力は支えになっていますか?

はい。「保護してくれてありがとう」、「いつもインスタ見てます」など温かい言葉をかけてもらえるのがすごく励みになりますし、餌等の色々な物資のご支援を頂いたり、ご寄付を頂いたり本当に支えになっています。
残念ながら亡くなってしまったのですが、ずっとFIP治療を行っていた子の治療費も、一部ご寄付で賄うことができました。そうやって助けて頂いて、日々猫ちゃんの命をつなぐことができています。皆さんの思いが詰まっているから私も必死に頑張らないとと思いますね。本当に、皆さんの支えがあってこそ保護活動として成り立っていると思います。

――これからの課題や目標はございますか?

もっとたくさんの方に保護猫の現状を知ってもらいたいです。かわいそうだと思って餌をあげることは猫ちゃんのためになりません。新たに不幸な命が生まれないように手術をしてあげるのが1番であることや、ペットショップで買うだけが猫ちゃんとの出会いでないことを知ってもらいたいですね。猫を家族にしたいと思った時は、ぜひ保護猫を選択肢に入れて頂きたいです。

――なるほど。より多くの方に“保護猫”を身近に思ってもらえるよう私たちも周りに伝えていきたいと思います。吉田さん、ありがとうございました。


編集後記

終始たくさんの猫ちゃんに囲まれながらの取材、とっても癒されるひと時でした。吉田さんに寄り添う猫ちゃんたちを見て、吉田さんの愛情がみんなに伝わっているのだろうなと感じました。私もそうでしたが、「保護猫」や「リンゴ猫」について知らない方も多いと思います。この記事を通じて、知ってもらえるきっかけになれば幸いです。猫を家族にしたいなと考えている方は、ぜひ一度保護猫カフェ「猫の道草」に足を運んでみてください。お店の向かいにあるカフェ「SETARIA」では、ランチやスイーツを楽しめるので、お食事後に猫ちゃんに癒されるのもおすすめですよ。
保護猫カフェ「猫の道草」

【住所】   和歌山市榎原140-33
【電話番号】 073-407-1852
【営業時間】 11:00~17:00(最終受付16:00)
【定休日】  水・木曜

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