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旧田島うるし工場「TAJIMA EXPO 2018」レポート|海南市黒江

漆器の町・海南市黒江にて、人とモノの歴史が息づく展示を見てきました。

漆器の町として知られる海南市黒江。
古い町並みを残す路地を歩いてゆくと、昭和二年に建てられた赤レンガの倉庫を併設する「旧田島うるし工場」が現れます。
その「旧田島うるし工場」で開催されている「TAJIMA EXPO 2018 ~明治から平成、今もここで眠っているモノ~」を訪ねました。

明治時代から現在に至る百数十年の間の歴史を、工場に眠っていたモノたちが語ってくれました。

(会期が延長されました。12月7日~9日・14日~16日・21日~22日
それぞれ10:00~17:00の開催です。)

昭和初期の赤レンガ倉庫へ

のれんをくぐり窓からのやわらかな光を受けつつ、展示場の赤レンガ倉庫へ。
漆器の製造に使われた古いモノたちが出迎えてくれます。
天井の高いレンガ倉庫の中には、なんと錆びたトタンでできた小屋が。
小屋の中には明治時代「田島うるし店」を創業した田嶋家の歴史と、昭和初期の海南市の写真や地図が展示されていました。
三代目当主・弥の助さんのレコードは昭和初期のもの。
手動式のプレーヤーは今でも音を奏でることができます。
レコードを聴かせていただいたところ、懐かしくて温かな音色。
太めの音と雑音、そして不安定な回転数がよい味をだしてくれました。
当時のうるし工場で働いていた人たちの暮らしがわかる展示も。
大人数で食事をするためのおひつ。
大人数で食事をするためのおひつ。
田嶋漆店、と書いた番傘。
田嶋漆店、と書いた番傘。
帳簿からは当時の物価がわかります。
帳簿からは当時の物価がわかります。
真空管のラジオ。再生、と漢字が。
真空管のラジオ。再生、と漢字が。
この「旧田島うるし工場」は2017年より中田耕平さん、中田真奈さん、鈴木正史さん、山田尚美さん、大久保陽平さんが共同アトリエ兼ワークショップスペースとして管理・運営をしています。
昭和初期の建物を修復しつつ維持してゆくために「タル募金」の呼びかけがありました。
先ほどのレンガ倉庫に建っていたトタンの小屋も、9月の台風ではがれた屋根を使ったものだそうです。
「はがれたトタン屋根も、この建物の大切な歴史のひとつなんです。」
と、管理者の一人、中田耕平さんは語ってくれました。

屋根の新しい木の部分が、元はトタンを張ってあったところです。


年内にはこの「旧田島うるし工場」でカフェを開く予定とのこと、訪ねた日には中田さんがご自身で改装を手がけている最中でした。

継承してゆくことの大切さ

倉庫として利用されていた頃の書き込みが残る壁
倉庫として利用されていた頃の書き込みが残る壁
単なるレトロ趣味ではなく、建物の歴史とそこで生きていた人々の歴史、その両方を大切に継承してゆきたいという気持ちが感じられた「TAJIMA EXPO 2018」。
来春には管理・運営をしている中田耕平さん、鈴木正史さん、山田尚美さん、大久保陽平さんの展覧会も「旧田島うるし工場」で開かれるとのこと。
歴史ある建物と若い方々のアートの競演が楽しみです。
たくさんの方が訪ねてくださることを願います。

「旧田島うるし工場」へのアクセス

地図は「TAJIMA EXPO 2018」パンフレットからお借りしました。
地図は「TAJIMA EXPO 2018」パンフレットからお借りしました。
【駐車場】
旧田島うるし工場にも駐車場はありますが、道が狭く台数に限りがあります。
海南黒江郵便局の南側に、黒江観光用の駐車場が10台分ありますので、そちらをおすすめします。

【公共交通機関】
和歌山バス「東浜」から徒歩5分
JR海南駅から徒歩20分

【旧田島うるし工場】
住所    海南市船尾166
電話    090-3921-0166
メール  tajimaurushi@gmail.com
黒江観光用の駐車場です
黒江観光用の駐車場です
こちらも黒江観光用の駐車場です
こちらも黒江観光用の駐車場です

黒江には古民家カフェも

はちみつキンカンの入ったカップに熱い紅茶を注ぎます。
はちみつキンカンの入ったカップに熱い紅茶を注ぎます。
黒江観光用の駐車場の近くには古民家カフェ「黒江ぬりもの館」があります。
漆器の器でいただくスイーツや、冬季には粕汁ランチやぜんざいも。
この日は「きんかん紅茶」(450円)で温まりました。

【黒江ぬりもの館】
住所    海南市黒江680
電話    073-482-5321
営業    11:00~17:00(定休日 火曜日・水曜日)
【真柴 みこと】
息子二人の子育てを終えてから、フリーライターとして修業中。
写真と神社仏閣、自然の生き物が好きで、カメラを手に和歌山を駆け回っています。
* Instagram  028mikoto
* note  https://note.mu/028mikoto