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キラリ☆和歌山人

紀州漆器の技術を受け継ぐ、未来へ!(2)

今回は、紀州漆器組合青年部のみなさんのお仕事をご紹介します!!

2019/12/11

【塗り】町田智哉さん(町宗工芸)

紀州漆器を支える「塗り」の期待の逸材、町田智哉さん(町宗工芸・海南市岡田)。今回は、塗り場でのお仕事の様子を見学させて頂きました。漆器の盆や椀など、出来上がった商品を手にすることはあっても、なかなかその工程を見る機会がないですよね。
私達が気付いていないだけで、実は様々なものが漆器で作られています。この日見せて頂いたのは「木目柄のゴミ箱」。下地の後→塗料→木目をひく→上塗りという行程の中に、修行で培われた技術が光っていました。

木目をひく工程を見学させて頂きました!!

下地の状態。ここに塗料を塗っていきます。
下地を回転させてエアーガンで塗料を塗るんですね。
綺麗にムラなく、早い!あっという間です。
塗料を塗った状態。いよいよ木目を付けていきます。
左手で回しながら刷毛で木目をひきます。回す速さや力加減が難しそうです。
木目がひかれた状態。完成間近です。
ウレタン塗料で上塗りしていきます。塗料の配分によっても仕上がりが変わります。
町田さんが塗るのを見ていると自分もやってみたくなりますが、なかなか真似できません。
スピードと技で量産していくのですね。

町田さんのお父様

こちらは「塗り場」。町宗工芸では3カ所の塗り場で塗っています。
ミニ四駆の大会「紀州漆器カップ」の商品用に塗られたもの。子ども達にも紀州漆器を知ってもらいたいという思いが込められています。

【木工】野上祐人さん(野上木工株式会社)

特殊な方法で曲げて「わっぱ」になったシナとカバの合板を切って使います。
特殊な方法で曲げて「わっぱ」になったシナとカバの合板を切って使います。
教育用タンブリンとしても有名な「ヤマヨのタンブリン」を作っているのが野上木工株式会社さん(和歌山市毛見)。タンブリンや和太鼓の職人である野上祐人さんに、工場を案内して頂きました!近頃は外国産の安価な楽器が増えていますが、ヤマヨタンブリンのように、国産で一つ一つ丁寧な手作業で仕上げていく楽器は、いい音で、丈夫、何より安心・安全です。長く使える上質なタンブリンが、各学校で選ばれるのも納得ですね。

※野上木工さんは、文部科学省発行の「教育用音楽用語」に則り、日本の音楽教科書への記載方法と同一の『タンブリン』と表記し、商品を販売されていますので、記事も「タンブリン」表記にしています。

さまざまな手作業の工程を経て生まれるタンブリンや和太鼓

先ほどの「わっぱ」を切って磨いたもの。
「上場摺り(うえばすり)」と言って、切った合板のわっぱを丸く綺麗にしていく行程です。
摺り過ぎると、摩擦で焦げたりするので、技術がいる作業です。
大量のタンブリンの木枠(胴)。これに一つ一つ皮を張っていくんですね・・・。
太鼓用に切断した牛銀革。この状態だとすごく堅くて油染みがあります。
巨大な帆立の貝ひものような革の切れ端。「何かに利用出来ればいいんですけど・・・。」と野上さん。
体育太鼓やチューナブルタンブリン用の打面ヘッド。万が一お子さんの口に入っても大丈夫な塗料を使っています。
ここでは、革を張る、シンバルを取り付けるなどの作業がされています。
たくさんの手作業の工程を経て完成した野上木工株式会社さんの楽器たち。たくさんの方に使って頂きたいですね。

和太鼓も手間隙をかけて作られています。

和太鼓もほぼ手作業。コスト面は上がるが、皮は国産にこだわり、生の皮から使える皮にする、木は良い物を使うなど丈夫で素晴らしい音のために妥協をしない。こちらは皮を張る工程。音が均一になるようジャッキの高さを変えているのだそう。
野上木工さんで唯一漆器っぽい工程が、この木漬け。太鼓の胴部分にマーブルのような模様を付けます。

【営業・EC・塗り】山家優一さん(山家漆器店)

塗り、営業、EC、広報、経営など幅広くこなす山家漆器店(海南市岡田)の山家優一さん。前職ミャンマーに駐在されていた経験を活かし、ミャンマーやタイなど東南アジアの漆器産地の視察や調査も行われているんです。紀州漆器の発展のために、出来る事は何なのか、日々模索されています。

海外にも漆器の産地があるんですね。こちらはチェンマイの漆器産地の様子です。

チェンマイは、ミャンマーのバガン漆器が本流となった竹やマンゴーの木などを素材として使う漆器製品が数多くあり、非常に歴史が長い産地の一つ。仏教徒であるタイですので、仏具として漆器の塗りをはじめ、金や装飾品を接着する接着剤としてうるしを使っているのだそうです。
ホテルや神社仏閣からの注文が多く、箱モノである文庫箱や、ティッシュケースなどを製作されていたそうです。
塗師の手前に見える一斗缶とバケツの中に大量の漆が。ミャンマーから輸入されている格安でゴム質の漆ですね。
現地の事業者さんの商品を見たり情報を得ると同時に、自分たちの商品も見てもらい、交流の中で刺激をもらっています。
同じ漆器事業として何か協業やコラボ商品開発などができないかなど事業の可能性を探ります。

山家さんのおすすめ商品「紀州-KISHU-曲げわっぱ弁当箱」

食品衛生法をクリアした安心・安全なお弁当箱です。
曲げわっぱのお弁当箱にいれると一段と美味しそうですよね!ギフトにも最適です。
紀州漆器に出会える「紀州漆器伝統産業会館 うるわし館」(海南市船尾)
紀州漆器に出会える「紀州漆器伝統産業会館 うるわし館」(海南市船尾)
みなさんいかがでしたか?紀州漆器組合青年部の3名のお仕事の様子をご紹介しました。漆器や木工を支えるたくさんの職人さんや経営者のみなさんの技・挑戦・思いを少しでも知って頂くきっかけになればいいなと思います。
ぜひ、紀州漆器を手にとって魅力を感じてみてください!!

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