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キラリ☆和歌山人

中村和子さん:「紀州和歌の浦 木村屋」女将

2014/12/02

今回のキラリ☆和歌山人は、和歌山市和歌浦にある旅館「紀州和歌の浦 木村屋」の女将、中村和子さんです。

中村和子さんは「木村屋」の女将を務めながら、観光だけではなく、地元和歌山の方々と大自然を舞台に様々な活動をされています。
インタビュー当日は天気がよく、片男波を一望できる部屋に通していただくと、波の音が部屋に静かに響き、よせてはかえすその様を、思わずじっと眺めてしまいました。

部屋から一望できる、一秒ごとに表情を変える海。
部屋から一望できる、一秒ごとに表情を変える海。
――こちらの客室は眺望がよく海が見渡せ、なんだかぼーっとしてしまいますね。

本当に、今日は穏やかできれいですよね。
これから寒くなるとは思えないくらい、気持ちいい風が吹いていますし。
けれど、この海も台風になると、同じ海とは思えないくらい荒れ狂うんですよ。
砂浜は無くなり、寄せて引いてではなく、縦横に力強く当たるんです。
(旅館下にある)遊歩道の手すりも、もう何回も壊れて。
自然には敵わないと、つくづく思います。

――その日の天候や時間帯によって、様々な表情が見れるのでしょうね。木村屋さんのお部屋からの眺めは、たくさんのお客様に喜ばれていると思います。

海が見えて、空が広がっていて、こんな景色が見れるって、これを幸せと思わずにはいられないですね。
でも、私自身、幼いころから自然の美しさやありがたみが全くわからなかったです。
旅先で「どこから来たの?」と聞かれると「大阪です」と答えてしまったり(笑)。
地元和歌山に思い入れが持てなかったんですね。
初めて訪れても、何故だか心の落ち着けるお出迎え。
初めて訪れても、何故だか心の落ち着けるお出迎え。
――それでは、木村屋さんを経営されていくうちに何か変化があったのでしょうか?

木村屋は、昭和5年、私の祖父母が始めたんです。
当初は和歌浦の高津子山というところに、春になるとたくさんお花見をされる方がいらっしゃって、その方たちのお食事スペースの貸出しから始まりました。最初は茶店のような感じで、夏に海水浴に来られる方を泊めるようになって、現在の旅館木村屋になりました。
私が女将をさせていただいているのも、御縁を感じます。
変化といえば、2004年の夏に、台風の波にさらわれたことがあったんです。
「和子姉ちゃんがいない!」と大騒ぎになり、無事に助かったのですが、全身ずぶぬれになって。
旅館の下で「バグース」というビーチバーをやっているのですが、そこの一段下がったところなので、そもそも流されるというのも不思議に思えるのですが……なんだかその時、リセットされたような感覚がありました。
ああ、自然の力には勝てないんだ、と。
それから、生まれた時からずっとそこにあった和歌山の自然を見る目が変わり、こんな素晴らしいものがあったのだと感じるようになりました。

――リセットですか!中々できる体験ではないですね。

なんだか、色々なものに対する感じ方が変わりました。
友人に譲ってもらったカヤックを海で漕いでいた際、ふと「漕ぐのをやめたらどうなるんだろう?」と思って、漕がずにそのまま浮かんでみたんです。
その場からそんなに離れることはなかったのですが、波の動きに揺れるカヤックと、そこに乗っている自分がいて。
人間は自然と相対するものだとずっと思っていたのですが、その時、人間も自然の一部なのだということに気付かされました。
なだらかに傾斜になっているが、奥の扉の方まで波が来たという。
なだらかに傾斜になっているが、奥の扉の方まで波が来たという。
夏期営業時。ライブイベントやお祭り等が行われる。
夏期営業時。ライブイベントやお祭り等が行われる。
友人の方が作ってくれたくじらの風車。人とのつながりが感じられるあたたかい空間。
友人の方が作ってくれたくじらの風車。人とのつながりが感じられるあたたかい空間。
――考えてわかるというより、何か降りてくるような、身体で感じる体験でしょうか。中村さんは地元の方と様々な活動をされていますが、そういった体験が活動にも影響しているのでしょうか?

NPO法人 和歌の浦 万葉薪能の会という活動を行っていて、毎年10月に、自然を舞台に能を披露しています。
今年で16回目の公演となりました。
薪能は屋外で薪を焚いて行うものなので、雨が降ると屋内で行うことになるのですが、それだと雰囲気が全く変わってしまうんです。
だから私たちも見に来て下さる方も断然屋外での公演を望んでいるのですが、不思議なことに、薪能の会の日は雨が降らない。
私たちの周りではもう定説になっています(笑)。
これもなんだか、自然に歓迎されているような気がしています。

――自然に受け入れられる活動というのは、大きなやりがいと感動があると思います。

先程も出ましたが、高津子山は昔「新吉野」と呼ばれていたんです。
奈良の吉野山は、一目千本というくらいの桜の名所ですが、それに対して新吉野といわれるくらい、高津子山にはたくさんの桜が咲いていて、皆さんお花見に来られていたんですよ。
ロープウェイに乗れば、座っていながら桜の山を一望できました。
ですが最近、ぽつぽつと桜が寂しくなってきたと感じ、万葉薪能の会で、実際に山に登ってみると、蔓に絡まれていたり、日光がちゃんと当たっていなかったりと、瀕死状態の桜の木が約2000本もあることがわかったんです。
それなら植えるよりもまず先にお掃除をして、元々あるものを元気にしようと思い、「高津子山を桜の山に」という活動を2006年から行っています。
草を刈り、木に絡まった蔓を取り……すると風が通って、日光も差し込み、ぐんぐん桜が元気になってきて、不思議と「お山が喜んでいる」と感じるんです。
山での作業は大変ですが、下りてきた皆の顔はきらきらと輝いていて、きれいな顔をされてるのを見ると、人の思いが花にも伝わっているのではないかと思うんですよね。
――旅館を切り盛りされていると、たくさんの人との出会いがあると思いますが、そういったつながりのなかでも何か感じられることはありますか?

今年の夏に、20代前半の男性が二人、ふらっと訪れたんです。
話を聞いてみると、近々友人を50から60人くらい集めてくるので、泊めてほしいと。
それで予約してくれたのですが、急なお話でちょっと焦っていました。
本当にそんなに集まるのかなあとも。
その子たちは和歌山の子なのですが、高校時代、バスケットの県選抜チームの合宿で、うちを使ってくれたそうなんです。
その時、和歌山にこんなに素晴らしい景色があるのだと感動して、大人になったら自分のお金で絶対にまた来ようと決めたと言うんですね。
その話を聞いて、とても驚いて、感激しました。
結果60人近く、静岡方面や関西方面から集まってくれて、みんなとても気に入ってくれて。
「木村屋最高!和歌山最高!」って、帰りには色紙もプレゼントしてくれました。
私自身、十代の頃は和歌山大嫌いでしたから(笑)、そういう感性をもった若い方に出会うと、なんて賢いのだろうというか、偉いなあと思いますね。

――私も地元は九州で、自然がたくさんあるのですが、そのよさにまだ気付かないうちに出てしまったと感じることがあります。そう思えるようになったのも最近のことで、和歌山に来てからです。

九州もとてもいいところですよ。
中学の地理の教科書に、宮崎県の高千穂で行われている神楽(かぐら)の写真が小さく載っていて、あ、ここ行きたい!と思いました。
それから大人になって、熊本県の阿蘇にある幣立神宮の本に出会った時、高千穂に行きたいと思ったことを思い出して、地図で調べてみると高千穂と幣立神宮の場所が一直線上にあったんです。
ああこれは行かなきゃと思いました。
心の赴くままに幣立神宮で即興の舞を披露したり、自然に歓迎されている体験をたくさんしました。
周囲の色んなものが、行きたいと思っていた場所に行けるようになる動きになっているような、そんな経験が多くなりました。

――世界を見る目が変わることで、中村さんの周囲の環境まで変わっていったのですね。それでは、今後は和歌浦を舞台に、どのように活動されるご予定ですか?

抽象的になってしまいますが、和歌浦の深さ、よさに誇りを持って、県外へと広めていく活動をしていきたいと考えています。

――深さ、というところがポイントのように感じられます。本日は貴重なお話、ありがとうございました。
◆編集後記◆
初めて会う人なのに、「何を話そう」など思わずに自然体でいられる、そんな出会いは多くはないと思います。
中村さんにお会いしたとき、何故かとてもうきうきすると同時にリラックスできるのを感じました。
お話が非常に面白く、是非実際にお会いしていただきたい方です!
私個人としても和歌浦が大好きなので、これから更に和歌浦、そして和歌浦に限らず、自然に身を任せ、歓迎されるような経験に出会いたいと感じました。
中村さん、ありがとうございました!
紀州 和歌の浦 木村屋
TEL:073-444-0155
住所:和歌山市新和歌浦2-2

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木村屋さんが事務局を務める万葉薪能の会については、こちらをチェックしてみてください!

>>NPO法人 和歌の浦万葉薪能の会の詳細へ<<

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