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「わかやま文芸フェスティバル」に行ってきました!

書店では手に入らない、個性的な文芸作品の販売交流会です。

2019年8月4日、和歌山JAビルにて「わかやま文芸フェスティバル」が開催されました。
主催は「わかやま文芸クラブ」。アマチュアとして活動する文筆家の方々が出店して、ご自分の本をご自分で販売するイベントです。
いただいたパンフレットには、和歌山が誇る作家・中上健次氏の娘、中上紀(なかがみのり)さんと第160回芥川賞を受賞された上田岳弘さんからの特別寄稿が掲載されていました。
主催代表の新海大樹さんは、このお二人に背中を押され、「わかやま文芸フェスティバル」の開催に踏み切ったということです。


学生時代から詩や短編小説を書いていた、代表の新海さん。
Facebook上で「わかやま文芸クラブ」として作品を発表、仲間と「いいね」の数を競い、文学の活動を続けていたそうです。
転機となったのは昨年、中上健次氏が開講した文化組織団体「熊野大学」のセミナーに参加したこと。
学びの場で多くの方に触発され、今回の「わかやま文芸フェスティバル」開催へと動き始めたとのことです。

会場には多彩な作品が

「わかやま文芸フェスティバル」には全部で13ブースの出店がありました。
幻想的な雪の世界を歩く絵本や架空の国へのナチス侵攻を描く長編小説、歌集や詩集、また目を瞠るような装丁の美しい本も並んでいました。
その中から数点をご紹介します。
『固い床』  わかやま文芸クラブ
「わかやま文芸クラブ」初の同人誌。
10人の会員の詩やエッセイ、掌編小説がまとめられています。
まさに十人十色の作品集です。
『本屋と女の共犯関係』  THE読書ズ /イラスト・PANKICHI/ 文・本野ひかり
実際に京都で営業している本屋さんを舞台に、女性を主人公としたイラスト掌編小説集。
小説もイラストも「この本でしか出会えない」と思える作品です。
全国に会員のいる大所帯の組織の由、京都での活動が多いそうです。
『揺れる水のカノン』  金川 宏
話題の出版社「書肆侃侃房」から出版された歌集。
短歌にソネットを続ける構成など、前衛的な独自のスタイルを確立されています。
「NHK短歌」から取材を受けるほどの実力者です。
『風と指切り』   白影堂 / 片山 郁巴(いくは)
一編ごとに余白の使い方が異なる詩集。
それぞれの詩によって文字のかたちや配列が工夫され、ページそのものがデザインされています。
抽象的な感情の浮遊感が伝わってきます。
「わかやま文芸フェスティバル」は今回が初の開催です。
作者から直接、作品の背景を伺ったり、本を作ること以外の活動のお話を聞いたりするのは、とても新鮮な体験でした。
書店に並んでいるような整えられた形ではなく、その人ならではの個性の尖った本に出会える楽しさも。
ネットで簡単に人やモノとつながれる時代、敢えてリアルな場を作る、ということにも大きな意味があると感じました。
ぜひ第二回目も開催して、和歌山での文芸活動を盛り上げていただきたいと思います。

【真柴みこと】
息子二人の子育てを終えてから、フリーライターとして活動中。
写真と神社仏閣、自然の生き物が好きで、カメラを手に和歌山を駆け回っています。
* Instagram  https://www.instagram.com/028mikoto/
 *note  https://note.mu/028mikoto

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