徳川吉宗（江戸幕府第8代将軍）、陸奥宗光（政治家）、華岡青洲（世界ではじめて全身麻酔を用いた医師）などなど、和歌山出身の著名人は大勢いて、その人たちを顕彰する碑も県内にはたくさん設置されています。みなさんはどれだけご存じですか？

先ほど名前を挙げた人たちはみな歴史上の偉人ばかりです。それぞれの顕彰する碑がゆかりの土地に建てられています。碑の場所は次の通りです。

ブロンズ像（和歌山市吹上1丁目）
生誕地の碑（和歌山市吹上2丁目）

生誕地の碑（和歌山市吹上3丁目）

顕彰施設「青洲の里」（紀の川市西野山）
顕彰碑（紀の川市打田町）

もちろん、和歌山出身の偉人はこれらの人だけではなく、偉人を記念・顕彰する碑も県内各地にとてもたくさんあります。そのいくつかはみなさんも御覧になったことがあるかもしれません。

こういった記念碑や顕彰碑はたいてい没後につくられるものですが、和歌山には現在活躍中の人の碑もあります。おそらく誰もが知る人の碑を訪ねて、橋本市に行ってきました。

橋本市出身の著名人について、橋本市役所でお話を伺いました。お話してくださったのは、橋本市経済推進部シティセールス推進課観光プロモーション係の大林弘和さんです。

橋本市出身で、現役で活躍している最もフレッシュかつ知名度が高い人と言えば、プロ野球選手の筒香嘉智さんと、溝端淳平さんの2人です。筒香さん、溝端さんともめずらしい姓氏ですが、両方とも橋本市やかつらぎ町周辺に古くからある名前なのだそうです。

筒香さん、溝端さんのご出身は橋本市恋野地区。大変ロマンティックな地名ですが、「恋」という字を使う地名は国内でも十数ヶ所しかない、とてもめずらしい地名です。当地には「恋野橋」という橋もあり、ロマンスを生み出せそうな名前です。

恋野で生まれ育った筒香さん、溝端さんはどんな人なのでしょうか。

筒香さんも溝端さんも著名な方ですからみなさんも既にご存じのことでしょうが、ここで改めて簡単にプロフィールをご紹介します。

筒香さんは1991年11月26日生まれのプロ野球選手です。右投左打。2019年現在は横浜DeNAベイスターズで活躍しています。現在の背番号は25。

小学2年生のときに少年野球をはじめ、中学3年生のときに全国大会ベスト8に進出。自宅でも毎日練習を重ねて野球に打ち込み、遊ぶ暇もなかったのだとか。高校は自ら強豪・横浜高校を選んで入学、2年生の夏に甲子園出場を果たします。2009年のドラフト会議で1位指名を受けて、高校卒業と同時に横浜ベイスターズ（2011年から横浜DeNAベイスターズに名称変更）に入団します。

2016年には本塁打王と打点王にそれぞれ1回ずつ、2017年にはWBC日本代表入りを果たし、4番打者を務めました。2015年からはオールスターゲームに連続出場しているという、実力と人気を兼ね備えたプロ野球選手です。

また、2019年1月から2021年3月までの間、故郷である橋本市のスポーツ推進アドバイザーを務めることになりました。

溝端さんは1989年6月14日生の俳優です。2006年、第19回ジュノン・スーパーボーイ・コンテストでグランプリを獲得し、歴代グランプリ受賞者で最多の40社からオファーを受けたという、まさにダイヤの原石。高校2年生を終えたところで上京し、芸能活動をはじめました。

上京すぐの2007年4月から『世界ウルルン滞在記"ルネサンス"』に司会者として出演、同時期にTVドラマ『生徒諸君！』で俳優デビューします。翌年には『DIVE!!』で映画デビュー。また、2011年には実写ドラマ版『名探偵コナン』で工藤新一を演じています。

『名探偵コナン』の主人公・江戸川コナンが謎の組織によって身体を幼児化させられる前の姿である工藤新一を実写で演じたことがある俳優は日本に2人だけ。溝端さんはそのうちの1人です。

東京ドラマアウォード2009新人賞、第33回日本アカデミー賞新人俳優賞、第20回日本映画批評家大賞新人男優賞などを受賞しており、期待の新人として世に躍り出たことはみなさんの記憶にも新しいことでしょう。もちろん現在もドラマ、舞台、CM等で活躍中です。

前の項でご紹介した2人の活躍を顕彰する碑が、橋本市の2人の出身地・恋野にあります。「恋し野の里あじさい園」と言って、梅雨の時季には約5000株のあじさいが咲く場所です。あじさい園の中に、筒香さんと溝端さんのそれぞれの碑があります。

碑と言っても大きな石碑が建っているのではなく、記念植樹をして、木のとなりに小さめの石碑を添えています。筒香さんの碑は恋し野のあじさい園の入口付近にあります。

石碑には「筒香嘉智君 横浜ベイスターズ入団記念植樹」と刻まれています。日付は平成22年2月1日。9年建って植えた木も立派に育っています。

筒香さんの碑からあじさい園のさらに奥へ進むと、「本田池」という池があります。この近くに溝端さんの碑があります。溝端さんの碑はデビュー3周年記念、デビュー5周年、デビュー10周年をそれぞれ記念して3回植樹が行なわれています。

筒香さん・溝端さんとも記念植樹や碑の建立は地元の有志が行なったものだそうで、地元の人たちが2人をとても大切に思い、そして熱心に応援しているということがよく分かります。

筒香さんと溝端さんの記念碑がある恋し野のあじさい園は入場料無料。あじさいのほかにも桜や山茶花、寒椿なども植えられていて、近くには中将姫伝説をたどるハイキングコースもあります。梅雨の時季だけでなく、1年を通して楽しめる場所です。碑を訪れて地元出身の若い才能の活躍にふれ、また季節にはあじさいを見たりハイキングに出掛けてはいかがでしょうか。